犬のフィラリア症(犬糸状虫症)①犬フィラリア症って何?

獣医さんの情報室

犬のフィラリア症(犬糸状虫症)とは

犬のフィラリア症(犬糸状虫症)とは、犬の心臓にそうめん状の成虫が多数寄生し(オス:15~20㎝、メス:25~30㎝)、心不全によって死亡してしまう病気です。この病気は、犬がフィラリアの子虫(ミクロフィラリア)持っているにさされることによって感染します。

治療法はあるの?

感染初期で少数寄生の時は明らかな症状は見られませんが、慢性感染や寄生が多数の場合、フィラリア症による肺血管障害のため肺高血圧症や右心不全の症状が現れます。
無症状や軽症な場合は内服楽で回復できる症例もあります。しかし、寄生が多数の場合、内科治療として毒性の強いヒ素を含む注射薬で成虫を殺す薬を用いることがあります。注射に用いられるヒ素剤は強い副作用を伴い、注射後も長期間のケージ内での絶対安静を必要とします。また、外科手術が必要な症例では、経静脈を介して特別な器械を使用して心臓の中から成虫を引きずり出します。この手術は、危険度も高く、完全に虫を取り切れないこともありますし、全ての動物病院が対応できるわけではありません。
フィラリア症の治療には、安全で完璧な方法はないと思ってください。症状が出てからでは手遅れになってしまうことも多いことを知っておいてください。

静かに心不全が進行し、気づいた時にはすでに手遅れとなってしまったり、治療に耐え切れず命を落としたりしてしまうこともあります。たとえ治療が成功しても、心臓は大量のフィラリアの成虫のために、変形し元に戻ることはありません。治療よりも予防が大切な病気です。

フィラリア症は過去の病気?

少し前(1999年のデータ)では、日本の犬の全国平均の感染率は50%前後と言われてました。2015年に実施された全国的な調査でもまだまだ感染は全国的にみられ、もちろん東京都も例外ではありませんでした(獣医師向けインターネットサイトによるアンケート調査)。

現在では、飼い主さんの予防意識も高まったことと、様々なタイプの予防薬が普及したことにより、毎年の春の予防シーズン開始時のフィラリア症の感染の有無をチェックする血液検査でも、当院では陽性(フィラリア症に以前よりフィラリア症にかかっている)犬は見られなくなりました。

しかし、動物病院で検査を受ける犬たちがフィラリア陰性でも、周りには予防を行っていない犬、もしかしたらフィラリア症にかかっていても動物病院に受診したことがない犬もいます。予防意識が高い飼い主さんたちが予防をしっかり行っているため、そのような犬たちも感染機会が減るという恩恵にあずかっていることもあると思います

ただし、万が一すでにフィラリア症にかかっている犬が近くにいる限り、すべての犬は感染の危険にさらされています。また、フィラリア(犬糸条虫)の本来の寄生動物(終宿主)は犬ですが、猫、フェレットや、タヌキ、ハクビシン、アライグマなどの野生動物にも寄生することがあります。犬だけでなく、野生動物など、いろいろな動物を介した感染もあるため、しっかりとした予防は引き続き必要になります。


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